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2018.8.8 Wed
温暖化と異常気象
―― 対策はあるのか
気候変動がひどく忌まわしいのは、地政学への影響をもつことだ。新しい気象パターンは、社会的にも経済的にも大混乱を引き起こす。海面が上昇し、農地が枯れ、より猛烈な嵐や洪水が起きるようになり、居住できなくなる国も出てくる。こうした変化は、国際システムに前代未聞の試練を与えることになる。(バズビー)
エアロゾルは、広い範囲に靄(もや)がかかる現象をもたらし、太陽光を遮ったり散乱させたりする。その結果、地表に届く太陽光エネルギーが減少し、いつ、どこに、どれくらいの雨が降るかを左右する水分の蒸発が減少して水循環を混乱させる。・・・エアロゾル汚染への対策は温室効果ガス削減のキャンペーンに比べて市民の大きな関心を集めないが、その対策を、気候変動を抑える地球規模の行動における重要な柱とすべき理由は十分にある。(ロマナサン、セダン、ビクター)
新しい原子炉の設計によって、核燃料のメルトダウンリスクを物理的になくせる可能性もあるし、ナノテクノロジーによる膜を利用すれば、化石燃料発電所からの二酸化炭素排出を防げるかもしれない。壁紙と同価格で太陽光発電できるコーティング素材ができれば、消費する以上に電力を生産できるビルが立ち並ぶだろう。問題はこうした夢のようなクリーンエネルギーテクノロジーへの投資が十分でないことだ。投資を促すには、政府が投資を主導するとともに、その枠組みを国際的に広げていく必要がある。(シバラム、ノリス)
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ワーミング・ワールド
―― 気候変動というシステミック・リスク2018年8月号 ジョシュア・バズビー テキサス大学オースティン校 准教授(公共政策)
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地球を覆うエアロゾルを削減せよ
―― エアロゾルの拡散と水資源の減少2016年5月号 ベラガダン・ロマナサン カリフォルニア大学サンジェゴ校 海洋学研究所教授(大気・気候科学)、ジェシカ・セダン インド工科大学マドラス校・科学技術・政策研究所ディレクター、デビッド・G・ビクター カリフォルニア大学サンジェゴ校・グローバル政策・戦略大学院教授
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クリーンエネルギー投資の強化を
―― 温室効果ガスの削減では惨劇を回避できない2016年6月号 バルン・シバラム 米外交問題評議会フェロー(エネルギー担当)、 テリン・ノリス 元米エネルギー省特別顧問