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2018.8.27 Mon
<9月号プレビュー>
温暖化と異常気象が人類を脅かす
―― ダメージ管理から環境浄化への道を、ほか
さらに極端な異常気象がより頻繁に起きることに、社会は備えなければならない。具体的には、沿岸地域の防災機能を強化するか、放棄し、干ばつや熱波にも耐えられる穀物を開発し、農家が異常気象を予測できるようにし、水資源の節約と再利用のための新しい方法を見出さなければならない。異常気象が人体に与える影響への対応も必要になる。公衆衛生システムを強化することも必要だし、医療活動の訓練と介入を見直すことも必要だろう。(ラマナタン、ソロンド、ダスグプタ、ブラウン、ビクター)
世界の気温上昇を摂氏2度以内に抑えるという目標にこだわるのは間違っている。ほとんどの国は2年前にパリで掲げた二酸化炭素排出量の削減目標を実現できる軌道にはないし、仮にこれらの目標が達成されても、21世紀末までに世界の気温は3度以上上昇しているはずだ。多くの環境保護派は完全に失敗した過去のやり方で現在の問題に対処しようとしている。うまくアプローチできていない目標にこだわるのではなく、再生可能エネルギー、原子力、そして有望な新しい二酸化炭素回収テクノロジーを導入し、二酸化炭素排出量の削減努力をさらに強化すれば、たとえ気温上昇を2度以下に抑えられなくても、気候変動リスクは大幅に緩和できる。(ノードハウス)
カーボンプライシングで二酸化炭素排出量を削減するアプローチには問題がある。気候変動対策としては大した効果がない。カーボンプライシングのスキームで、排出量削減が可能なのは経済の特定セクターだけで、その他の部門は実質的に排出を削減しようとはしていない。このスキームが大きな効果を及ぼし得るセクターに対しても、政策決定者には十分な排出削減効果を期待できるような価格を設定する政治的気概がない。問題が悪化の一途をたどっているにもかかわらず、政治家も市民も、この制度を導入するだけで自分たちが気候変動と闘っているという陶酔感に浸ってしまっている。(ボール)