2018.8.14 Tue
人工知能で社会と経済、そして国際秩序はどう変わるか
人間の生活の一部となり、カスタマイズされたロボットの時代をどのように実現するかは非常に大きな課題だが、これはコンピュータ科学者たちが30年前に直面したチャレンジと似ている。彼らは、コンピュータが社会の一部として定着した社会を夢見ていた。マーク・ウェイザーは「非常に奥深いテクノロジーなら、人がそれをテクノロジーだと意識することさえない。それを意識しないほどに、日常生活と深く一体化していく」と述べている。すでにコンピュータは日常の一部となり、ユビキタス化している。いずれ、ロボットも日常生活の一部となっていくだろう。・・・(ラス)
オートメーション化の時代における勝者は、技術革新を実現し、新しい製品、サービス、ビジネスモデルを創造する一握りの人々だ。このクリエーティブな社会階級の所得が増大することで、全体の所得分配は統計学モデルで言う「べき乗則」に準じたものになる。非常に少数の勝者が富の多くを手にし、ロングテール、つまり、その他大勢の人々は低所得に甘んじることになる。つまり、今後重要になっていく生産要素はアイディアであり、これが労働や資本以上の価値をもつようになる。優れたアイディアを提供できる人が非常に大きな報酬を手にする。(ブラインジョルフソン、マカフィー、スペンス )
失業率が10%で深刻なリセッション、20%で世界規模の非常事態と言われるが、ロボットはおそらくすべての仕事の4分の1(25%)か、それ以上を担うようになる。例えば、10年も経たぬうちに、自動運転技術によって、ほぼすべての長距離トラック運転手が職を失うことになると考えられる。アメリカの場合、これは200万の雇用を創出している職種で、AIがトラックドライビングをこなせるまでに進歩した段階では、トラック運転手が転職できる他のいかなる仕事にもAIが導入されているはずだ。(ドラム)
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ロボットが人の日常を変える
―― パソコンからパーソナルロボットへ2015年7月号 ダニエラ・ラス マサチューセッツ工科大学コンピュータサイエンス&人工知能ラボディレクター
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デジタル経済が経済・社会構造を変える
―― オートメーション化が導くべき乗則の世界2014年7月号 エリック・ブラインジョルフソン MIT教授(マネジメントサイエンス)、アンドリュー・マカフィー MITリサーチ・サイエンティスト(デジタルビジネス)、マイケル・スペンス ニューヨーク大学教授(経済学)
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テクノロジー・ワールド
―― 地政学革命としての人工知能2018年7月号 ケビン・ドラム マザージョーンズ スタッフライター