2018.8.10 Fri
8月号プレビュー
―― マルキスト・ワールド、人工知能とデジタル権威主義、ほか
20世紀半ばに西ヨーロッパの富裕国とアメリカは、マルクスの時代の資本主義を特徴づけた不安定化と格差を一時的ながらも制御した社会民主主義的制度を考案した。このトレンドを前にした当時の多くの人が「マルクスの理論は淘汰された」と考えるようになった。しかし、ソビエトとその共産主義モデルを取り入れた諸国が次々と倒れたにも関わらず、マルクスの理論は依然としてもっとも鋭い資本主義批判の基盤を提供し続けている。マルキシズムは、時代遅れになるどころか、現状を理解する上で必要不可欠の理論とみなされている。(バーギーズ)
政府にとっての選択肢は「民衆を抑圧し、貧困に甘んじるか」、それとも「民衆(の創造力)を解き放って経済的果実を手に入れるか」の二つに一つだと考えられてきた。だが、人工知能はこの二分法を突き崩し、(権威主義の)経済大国が市民を豊かにするとともに、市民に対する管理体制を維持する妥当なツールを提供するだろう。(ライト)
独裁制だけで、中国の見事な成長を説明できるわけではない。むしろ、官僚制度の改革を通じて民主的な要因を導入し、地方レベルでの現実に即した柔軟な対応を北京が認めたことで、経済的ダイナミズムが作り出された。トップダウンの命令に依存するのではなく、中国は地方の知識と資源を引き出し、多様性を促進し、自分たちの考えや努力を成功させようとするインセンティブを作り出した。こうした特質は民主国家にとっては、おなじみのものだ。中国はこれらを一党支配体制と結合させたに過ぎない。(アン)