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2018.7.9 Mon
<7月号プレビュー>
破綻したプーチンの統治モデル
―― 情報機関の没落と恐怖政治の復活
プーチンによる新しい統治モデルの重要なポイントは警察や秘密情報機関のメンバーも含め、「あらゆる人々を不安にさせる」ことだ。この新モデルはソビエト時代を彷彿とさせるものだ。ソビエトモデルの重大な欠陥は、KGBを含む情報機関が、上司が望まない情報を耳に入れて叱責されるのを恐れて、最終的には重要な情報を上層部に上げるのをやめてしまったことだ。皮肉にも、プーチンはこの問題を理解できないだろう。(ソルダトフ)
特別の任務を課された国家であるという特異な意識(プライド)ゆえに、ロシアが公的な同盟関係を結ぶことはあまりない。だがこの考えが、ロシアの指導者と民衆に誇りを持たせる一方で、「ロシアの特異性と重要性を理解しない欧米」に対する反発につながっている。こうして、ロシア政府は、欧米との緊密なつながりを求めることもあれば、自国が軽く見られていると反発し、協調路線から遠ざかろうとすることもあり、この二つの局面の間を常に揺れ動いている。要するに、この二つの路線のどちらかが消えては浮上するというパターンを繰り返している。(コトキン)
ソビエト時代のKGBは非常に大きな力を持つ組織だったが、それでも政治構造の枠内に置かれ、共産党がKGBをあらゆるレベルで監視していた。だが、KGBとは違って、今日のFSBは、外からの干渉を受けない。FSBは、ソビエト時代の秘密警察や欧米の情報機関とはまったく違う組織になった。ある意味では、アラブ世界の多くの国でみられる手荒な秘密警察、ムクハバラットに似ている。体制を守ることを目的とするこの組織は権力者に対してだけ責任を負い、外からの干渉を受けず、必然的に腐敗している。テロや反体制運動に関わっている疑いのある個人や集団に残忍な扱いをしている。(ソルダトフ、ボローガン)