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2018.7.31 Tue
<8月号プレビュー>
都市外交の台頭
―― グローバルな課題に対処する新アクター
各国の都市がグローバルレベルで直接交流するケースが増えている。都市の指導者たちは、他国の都市と連携し、災害からの復旧やリスク緩和について意見交換し、持続可能な開発、インフラ、治安、気候変動などの問題に取り組んでいる。都市間の協調ネットワークを通じて、都市が自分たちにとって無縁ではない地球規模の切実な課題に協調して取り組むようになり、国際社会で都市がリーダーシップを発揮する機会が作り出されている。国際条約に署名するのは今も国家の役割だが、都市は迅速に行動できるし、集積された知識を行動に生かし、グローバルな問題に協調して取り組むことができる。(アイレス)
これまでの都市の経済開発といえば、既存の企業を市内に引き留め、新しい企業を、インセンティブを提供して誘致するスタイルが主流だった。しかし21世紀に入ると、より効果的な新しい経済開発モデルが登場した。それは、企業ではなく、市民にとって魅力的な都市環境の整備に力を入れることだ。多くの都市が経験している通り、いまや資本がある場所に才能ある人々が集まるのではなく、才能ある人々がいる場所に資本が集まる。人々は健康で、家族に優しいライフスタイルを提供するコミュニティに住みたがる。そして企業は、人が住みたい場所に投資したいと考える。(ブルームバーグ)
いまや、国務省を迂回して国際交渉がなされることも珍しくなく、州や利益団体までもが海外にオフィスをもっている。多国間交渉の場には、相手国の立場や意向すらわきまえていない国務省とは無関係の代理人が送り込まれることも多い。だが、これは急速に変貌する社会や経済の反映であり、むしろ問題は、国家を代弁するのとは異なる次元で活動する多種多様な単位が登場したり、本来国家とは呼びえない資質しかもたない政治単位が国家として対外的に活動していることだ。(ケナン)