Focal Points

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2018.7.19 Thu

<8月号プレビュー>
ワーミング・ワールド
―― 気候変動というシステミック・リスク

気候変動がひどく忌まわしいのは、地政学への影響をもつことだ。新しい気象パターンは、社会的にも経済的にも大混乱を引き起こす。海面が上昇し、農地が枯れ、より凶暴な嵐や洪水が起きるようになり、居住できなくなる国も出てくる。こうした変化は、国際システムに前代未聞の試練を与えることになるだろう。(バズビー)

ヨーロッパの海岸に押し寄せる大規模な難民ほど、海面水位の上昇がメディアの関心を引くことはないが、国家と領土が海面下に姿を消し、消失するというかつてない事態の帰結は、ヨーロッパの難民危機同様に深刻なものになる。最大の問題は、気候変動難民の場合、国と主権を完全に失ってしまうことだ。難民の受け入れ国は、入国を認めようとしている人物が誰なのか、その母国が消失しているとすれば、一体誰が彼らに責任を負うのかを考え込むことになるだろう。(サイクス)

ブラジルは、(森林の減少・劣化を回避することで、温室効果ガス排出の削減を目指す)REDDと呼ばれる気候変動対策のテストケースとしても注目を集めている。・・・ブラジルが初期の成果を定着させ、幅広い開発構想への支持を集めて、熱帯雨林地域の経済的なオーバーホールに成功すれば、環境ガバナンスの新時代を切り開くことができるだろう。いまや大規模な森林伐採の時代に終止符を打つ可能性も、ぼんやりとみえてきている。(トルフソン)

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