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2018.7.11 Wed
イランの孤立と紛争後のシリア
―― なぜ親アサド同盟は分裂したか
イランは、イスラエルに軍事的圧力をかけるためにシリアでの足場を固めたいと考え、一方、アサド政権、ヒズボラ、ロシアは、この10年にわたってレバントで守ろうと試みきたものを台無しにしかねないイスラエルとの大規模な紛争を恐れ、避けたいと考えている。この分裂が、シリアにおけるテヘランの野望を阻止するための機会を提供することになるかもしれない。・・・今回イランは、その利益がこれまでのパートナーのそれと次第に乖離してくるにつれて、シリアで壁にぶつかっている。アメリカとそのパートナーは、この機会をうまく生かすべきだ。(ゴールドバーグ、ヘラス)
モスクワは、アサドがシリア全域をかつてのように支配するのが不可能で、そうするのが好ましくもないことを理解している。反政府の立場をとるスンニ派からクルド人までの勢力は、アサドの勝利を受け入れるのを頑迷に拒んでいる。無理もない。アサドはダマスカスの権力を握っているかもしれないが、シリアの政治的風景はもはや元に戻せないほどに変化している。モスクワは、この現実を受け入れようとしないアサドに対処していくとともに、紛争期の同盟国であるイランがシリアでどのように影響力を行使するかにも配慮しなければならない。(トレーニン)
良いオプションはない。しかし、他に比べて劣悪なオプションが何かははっきりとしている。アサドを退陣させ、改革志向の政権を誕生させるという希望はいまや幻想と化し、反政府派への支援も選択肢にはならない。アサドはシリア全土を取り戻すつもりだし、おそらく、それに成功する。これは、シリア内のクルド人地域を支援し、人権や民主主義を擁護するという希望も捨てなければならないことを意味する。一方、政治腐敗にまみれているアサド政権を、戦後復興に向けて支援することも選択肢にはなり得ない。(フォード)