2018.6.29 Fri
<7月号プレビュー>
テクノロジー・ワールド
―― 地政学革命としての人工知能、ほか
業革命は世界を変えたが、機械が人間の筋肉の代役を果たすようになっただけだった。機械の製造、操作、保守・整備にはまだ人の頭脳が必要とされたため、むしろ、高賃金雇用が数多く創出された。しかしデジタル革命では人間の頭脳を代替できる人工知能が登場する。本質的に、人間レベルのAIは人間ができることすべてをより巧みに遂行できる。しかも、真に開花するまでに100年以上を要した産業革命とは違って、デジタル革命の雇用喪失はわずか数十年で加速していく。(ドラム)
経済規模でみれば、そう遠くない未来に中国がアメリカを上回るのは避けられないだろう。民主化されているわけでもなく、中国が近く民主化を実現するとも考えにくい。権威主義が停滞に直面すると決まっているわけでもない。北京は自国の制度に能力主義と政治腐敗、能力と無能を共存させ、何とか国を先に進め、上昇させることに成功している。もちろん、経済が近く停滞し始めるかもしれないし、数多の矛盾ゆえに中国が内破する恐れもある。しかし、分析者たちは停滞と内破シナリオを数十年にわたって示してきたが、これまでことごとく、その予想が外れてきたのも事実だ。(コトキン)
安全と繁栄に向けて各国が協調するという近代のリベラルなビジョンは、これまで同様に現在もきわめて重要だ。歴史の流れのなかで、リベラルな民主主義が追い込まれる局面は過去にもあったが、最終的に再生を遂げ、前進してきた。そうできたのは、その基本価値が多くの人にアピールし、近代性とグローバル化に派生する問題にうまく対処できるユニークな力をもっていたからだ。リベラルな秩序は持ち堪えるだろう。アメリカの相対的パワーが低下しつつあるとしても、70年にわたってこの国が支えてきた国際システムは見事な堅牢さをもっている。(デュードニー、アイケンベリー)