Focal Points

Spinel / shutterstock.com

2018.6.22 Fri

欧米経済の衰退と民主的世紀の終わり
―― 拡大する「権威主義的民主主義」の富とパワー

現在、世界の1人当たり所得のトップ15カ国のうち、ほぼ3分の2が非民主国家で、イラン、カザフスタン、ロシアなど、どちらかと言えばうまくいっていない権威主義国家でさえ、1人当たり所得は2万ドルを超えている。中国の20年前の1人当たり所得は相当低かったが、最近では急速に上向いている。いまや「権威主義的近代性」のなかで暮らす人は数億人に達している。成功した経済モデルを採り入れることを望む、そう豊かでない世界の国々にとって「権威主義的近代性」を実現する国々の目を見張るような成長は、もはやリベラルな民主主義だけが豊かさへ至る唯一の道ではないことを示している。(モンク、フォア)

ポピュリズムの台頭をグレートリセッションで説明しようとしても、十分なものにはなり得ない。過去のケースをみても、金融危機後の5―6年間は極右の政治運動が台頭しているが、8―10年経過するとその余波はほとんどなくなる。だが今回は違う。金融危機から8年を経た現状で、ポピュリズムが大きなうねりをみせ、今後も勢いを増していきそうだ。さらに言えば、ポピュリストの政党や政治家は2008年よりもはるか前から頭角を現していた。金融危機がポピュリズムの台頭を後押ししたのは事実だが、金融危機ではポピュリズムの台頭は説明できない。むしろ、われわれは新しい時代へのシフト、この半世紀にわたってわれわれが当然視するようになった民主的安定という、かつてない時代の終わりの始まりを目の当たりにしているのかもしれない。(モンク)

戦争に敗れたとはいえ、権威主義的なナチスドイツと帝国日本の体制が仮に戦後も存続していたら、どうなっていただろうか。民主主義の体制に比べて、そのシステムが明らかに見劣りしていたとは断言できないのではないか。権威主義的な体制下では縁故主義が横行し、説明責任も果たされないままに終わることも多いが、高度な社会規律によって、こうした欠陥を埋め合わせることもできたかもしれない。全般的にみて、権威主義体制下の資本主義のほうが民主体制下の資本主義よりも効率が高い。(日独という)権威主義的資本主義国家が戦後も存続していれば、アメリカにとって、共産主義の中央統制経済以上に大きな脅威と課題をわれわれに突きつけていたかもしれない。(ガット )

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