Focal Points

2018.6.15 Fri

<6月号レビュー>
欧米経済の衰退と民主的世紀の終わり、「自分の国に誇りをもてますか」、ほか

民主国家が優位を喪失していく一方で、世界の経済生産に占める権威主義国家の割合が急激に上昇している。1990年当時、人権団体フリーダム・ハウスが「自由ではない」と分類した国が世界の所得に占める割合はわずか12%だったが、いまやそれが33%に達している。この数字は、ヨーロッパでファシズムが台頭した1930年代初頭の段階で「自由ではない」と分類される諸国の割合とほぼ同じで、冷戦期のソビエトパワーがピークに達した時期に、このカテゴリーの国々が占めた割合を上回っている。(モンク、フォア)

中国の経験から、複数政党制による選挙が必要だという民主化の狭い概念を捨て去る必要がある。民主的特質と恩恵の一部は、中国のケースが示す通り、一党支配の下でも実現できる。政治改革を外から強いるよりも、官僚組織改革を進めたほうがうまくいくかもしれない。長期的には、官僚組織改革が刺激する経済成長が、政治改革を求める有意義な圧力を生み出すはずだからだ。民主化はその国にかねて存在する伝統と制度(中国の場合はレーニン主義的な官僚組織)を改革すると、もっともうまく進展させられることを中国の経験は示している。まったく馴染みのない制度を輸入するよりも、すでにあるものをベースにしたほうが政治改革をうまく促進できる。(アン)

研究者は、国によって市民の国家へのこだわりや思い入れが異なる要因として、民族的多様性やグローバル経済への統合レベル、あるいは戦争や内戦の(経験や)歴史などさまざまな説を唱えてきた。例えば、単一民族国家に近いほど、そして国がグローバル化しているほど、ナショナリズムが強い傾向があると主張されてきた。しかし、私の研究からは別の結論が導き出されている。「人は自分が所属する民族集団の代表が国政に参加していると、国との一体感を感じる」。つまり、国家アイデンティティ意識には政治参加(代議制)が重要であり、国が民族的に多様であっても同質的であっても、それは変わらないということだ。(ウィマー)

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