Photo / White House
2018.5.31 Thu
誰も望まない戦争はどのように始まるか
―― 外交から戦争への転びやすい坂道
アメリカの戦略に成功の見込みを授け、最低でも惨劇を回避する機能を持たせるには、平壌が何を重視し、それぞれのオプションをどう判断するかについての正確な理解が必要になる。北朝鮮の目的だけでなく、北朝鮮の高官たちがアメリカの目的をどのように理解し、米政府(や大統領)の表明を信頼できるとみなしているかどうかも理解しなければならない。そうしない限り、イメージ上の間違いが米朝関係を下方スパイラルに巻き込み、第二次世界大戦以降で最悪の紛争へと向かっていくことになる。(ジャービス、フーパー)
金正恩は「国の存亡に関わる」核抑止力を放棄することは自殺行為だと考えており、現状では完全な非核化は実質的に交渉テーブルには載せられていないと考えるべきだ。トランプ政権は「北朝鮮の戦略核能力及びそれに関連する活動を包括的かつ検証可能な形で制約すること」を交渉の戦略目的に据える必要がある。こうした能力と活動を大枠で制約するというアプローチなら、アメリカそして日韓という同盟国の中期的利益になるし、中国と北朝鮮も受け入れるかもしれない。(ダルトン、レバイト )
米朝会談で考えるべきは要素の第1は交渉で取り上げるアジェンダの「幅」だ。核関連の能力と物質だけを交渉で取り上げることもできが、これを超えて通常戦力、人権などの領域に関しても交渉目的に据えることもできる。第2は交渉の「奥行き」だ。どの程度まで踏み込んで、代わりに何をオファーするか。第3は交渉の「構造」だ。どのようなペースで合意をまとめ、それを先につなげていくか。そして、最後は合意の形式だ。条約化するのか、それとも、よりインフォーマルな形式の合意にするのか。その決定は、政治的考慮、法的考慮に左右される。(ハース)