2018.4.24 Tue
<5月号プレビュー>北朝鮮特集
誰も望まない戦争はどのように始まるか
―― 外交から戦争への転びやすい坂道
制裁から逃れるためなら、交渉を通じて核の兵器庫を解体することにも金正恩は前向きだ。トランプはこう考えているが、実際には金は完全な非核化のためには米軍の朝鮮半島からの撤退と米韓同盟の解体が必要だと考えていれば、どうなるだろうか。このギャップが交渉で明らかになれば、米朝関係にすでに埋め込まれているイメージ上の間違い(ミスパーセプション)が、現実に影響を与え、米朝がともに望んでいない壊滅的状況が引き起こされる恐れがある。(ジャービス、フーパー)
ワシントンは今後も平壌に最大限の圧力をかけ、北朝鮮との交渉をより広範な地域戦略に紐付けなければならない。軍事オプションを回避しつつ、むしろ、日韓という同盟諸国との緊密な協調を通じて、地域的抑止体制と拡散防止策のための新たな試みを開始すべきだ。(チャ、カッツ)
金正恩を北京に迎えたとしても、北京が北朝鮮の生存を我が事のように心配しているわけではない。両国の「同盟」関係はいまも名目的なままだ。北京の目的は平壌との関係修復ではなく、アメリカの地域的影響力に対抗し、朝鮮半島への中国の影響力を強化することに他ならない。仮に北京が米朝交渉における仲介者の役割を担えば、朝鮮半島での影響力を譲るようにアメリカを説得しやすくなる。(マストロ)