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2018.4.19 Thu
混乱するアメリカの戦略
―― ホワイトハウスとペンタゴンの対立、国務省の混乱
トランプ政権の北朝鮮戦略を追い込んでいるのは、NSCとペンタゴン間の緊張ではない。ホワイトハウスに戦略がないこと、あるいはホワイトハウスが数日毎に新戦略の条件を示し続けていることだ。現在、アメリカの対外戦略を策定、実行する上で、実行可能で持続可能な戦略をまとめられる機能する省庁間調整プロセス、高官ポストが空席のままではない国務省、駐韓アメリカ大使、同盟諸国との開放的なコミュニケーションチャンネルが必要されている。(スミス、シュルマン)
現在のグローバル秩序は「植民地や朝貢国ではなく、同盟国をもつことは主権をもつ他国の意志を受け入れ、自らの立場を譲ることを意味する」という了解の上に組み立てられている。アメリカは、秩序を守るために必要とされるそうした妥協に価値があるか、それとも、不安定な国家や国家集団のために、中国やロシアとあくまで戦い抜くべきなのかを判断する必要がある。現状で賢明な選択をするには、そもそも、なぜどのようにアメリカが戦後秩序の構築を選択したかを理解する必要がある。(ステイル)
ティラーソンは、トランプ大統領を取り巻く保守・ナショナリスト系のイデオローグたちによる攻撃から国務省を守ることができなかった。後任のポンペオはその忠誠ゆえにトランプに好ましく思われているが、大統領が外交的カオスを作り出そうとしたり、無謀にもアメリカを脅かす脅威を無視しようとしたりしたときに、彼の前に立ちはだかるかどうかが重要だ。ポンペオのCIAでの記録をみれば、楽観は許されない。ホワイトハウスの過剰な干渉からCIAを何とか守りつつも、彼は大統領の最悪の本能を甘やかす発言もしているからだ。(パトリック )