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2018.4.13 Fri
貿易の戦略的ロジック
―― 貿易協定の政治・安全保障的意味合い
いまや各国の指導者たちは、貿易政策が国家安全保障政策、財政政策、金融政策的な機能さえ持つようになっていることを理解している。貿易を通じて長期的な協力を続ければ、国家間の誤解は減少し、信頼が高まり、安全保障を含む幅広い分野での協力に道が開かれる。しかも、アジアとヨーロッパの周辺で緊張が高まっていることを考えると、環太平洋パートナーシップ(TPP)と環大西洋貿易・投資パートナーシップ(TTIP)の戦略的・安全保障上のメリットはますます際立ってくる。・・・(フロマン)
アメリカは歴史的に自由貿易と平和を結びつけ、貿易障壁と戦争を結びつけてきた。しかし、いまやアメリカ人は、貿易のことを国内の雇用保障、民主的な統治、そして世界の労働者の権利、公衆衛生や環境の保全を脅かす脅威と考えている。経済安全保障と国家安全保障が不可分の形で結びついているというコンセンサスを再構築する必要があるし、安全保障面からも貿易を促進する必要があるという議論を、現在の懸念に配慮したものへと刷新する必要がある。(ハールバート)
世界貿易の停滞は、金融危機後の経済のシクリカルなスローダウンから世界経済が立ち直れずにいることを意味するにすぎない。途上国の台頭もグロ―バル化も終わることはなく、それだけにWTOの役目が終わったわけでもない。TPPのような自立的で広範囲をカバーする地域貿易協定を通じてであれ、あるいは多国間交渉の新しいアプローチを通じてであれ、世界の貿易制度の改革は依然として必要だ。問題を正面から捉えるために、われわれは貿易に関する危険な妄想を取り払う必要がある。(ダドゥッシュ)