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2018.4.04 Wed

最近のロシア関連論文から
―― プーチノミクスの驚くべき成功、ほか

原油価格の暴落と欧米による経済制裁によってロシア経済は悪化しプーチンの権力を脅かすのではと多くの人は考えていたが、実際にはそうはならなかった。プーチノミクスの大きな特徴は、高賃金と経済成長を目指すのではなく、むしろ、失業率を低く保ち、年金を着実に支払うことを重視することで、社会不満の高まりを抑え込んでいることにある。そのためにロシア政府は、マクロ経済の安定、労働市場の安定、国の管理を戦略的に重要なセクターに制限するという三つの戦略をとった。現時点ではこれらがうまく機能しており、プーチンの権力が維持されることにつながっている。(ミラー)

ロシアが地域的にも世界的にもより大きな役割を果たすには、アメリカのパワーを弱めなければならないとプーチンは判断しているようだ。アメリカ社会を分断させ、すでに存在する亀裂をさらに大きくしようと試み、国家としての一体感と統合そのものを攻撃のターゲットにしている。しかし、現在のワシントンの対応策は非常に不適切なものである。ワシントンはモスクワに真のダメージを強いる措置を講じる一方で、未来の攻撃に備えて防衛を強化し、モスクワの路線にもっとも脅かされるヨーロッパ同盟国への軍事的コミットメントを強化していくべきだ。(ブラックウィル、ゴードン)

最近のロシアでは、スターリン時代の怪物たちが歴史的復権を果たしつつあり、プーチン大統領はスターリン時代のイデオロギーを都合よく利用している。実際、ロシア政府にとって、歴史は客観的に扱われるべきものではなく、国家イデオロギーを推進するためのツールなのだ。そして、ロシア政府は、強権主義政府のカルトを民衆の意識に植え付け、ロシア民衆と国の歴史的例外性、世界のロシア系住民を統合していくことの特別な価値を訴えるプロパガンダを唱えている。そのすべてが、ロシアの膨張主義と国内抑圧を正当化するのに役立つ。(ペトロフ)

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