Andrea Hanks / wikimedia.org
2018.12.25 Tue
<2018年を回顧し、2019年を見通す>
秩序の形骸化で揺らぐ同盟関係
トランプ大統領は、アメリカが築き上げたグローバルな経済秩序に背を向け、二国間で相手を締め付ける路線への明確なコミットメントを示している。いまや、主要同盟諸国でさえ、アメリカ抜きの自由貿易合意や投資協定を模索している。アメリカが経済秩序から今後も遠ざかったままであれば、世界経済の成長は鈍化し、世界経済の先行きは不透明化する。(ポーゼン)
トランプ政権の関税引き上げ策や対イラン制裁に象徴される単独行動主義は、同盟関係を揺るがし始めている。仏独英などのワシントンの緊密な同盟諸国は、アメリカの制裁を回避し、ドルを基盤とする金融システムから決済を迂回させる方法を試みている。仮に他の諸国が連帯して米の制裁を拒絶するようになれば、ワシントンはすべての国に制裁を課すか、制裁を断念するかしかなくなる。・・・(ルー、ネフュー)
米中間の経済・貿易領域の対立が、安全保障領域に与える長期的な意味合いも考える必要がある。北京がアメリカとの経済関係に見切りをつければ、国際システムに背を向け、アメリカと同盟諸国の関係に楔を打ち込もうとすると考えられるからだ。相互依存関係の管理にトランプ政権が苛立ち、経済・貿易領域で中国を遠ざけていけば、安全保障領域でより厄介な問題を抱え込む恐れがある。(ワイン)