Kathryn E. Holm; MC1; USN / Secretary of Defense
2018.11.20 Tue
次期サウジ国王の野望と夢
―― 壮大な社会・経済改革の行方
モハメッド・ビン・サルマン皇太子は、民間経済の強化を通じて経済を多角化し、石油への依存を軽減するとともに、これまでの社会契約を見直して民衆や世論の支持を重視する路線に転じている。反政治腐敗キャンペーンを利用して王族内の秩序改革も試みている。権力の多くを手中に収めた皇太子が進める改革が長期的にどのような作用をするかは、彼が実際にどのような指導者になるか、反政治腐敗キャンペーンをどのような意図で進めていくかに左右される。・・・(ゴースIII)
リヤドを経済・社会変革に駆り立てているのは、原油安ではなく、むしろ、ユースバルジに象徴される人口増大問題だ。たとえ原油価格が上昇しても、今後の人口増を考慮すれば、家計収入の80%が公的部門の給与とさまざまな補助金に依存している現在の経済モデルは維持できなくなる。・・・激しい抵抗に直面するのは避けられないが、改革に失敗すれば、サウジは、現在のいかなる脅威よりもはるかに危険な、国内の全面的な不安定化という事態に直面することになる。(クローリー 、ベンシー)
リヤドは、歳出を削減して民衆の反発を買うよりも、非石油部門の歳入を増やそうとしている。これまで膨大な浪費を続けた国だけに、節約で一定の資金を手許に残せるが、最終的には、痛みを伴う是正策が必要になるだろう。(ハウス)
サウジは、イランのことをイスラム国以上に深刻な脅威とみなしている。・・・リヤドは、地域的、あるいは中東全域の地政学的優位をめぐって、イランとのゼロサムの関係にあるとみている。(ハイカル)