The White House
2018.11.19 Mon
中ロによる民主国家切り崩し策
―― 台頭する権威主義モデルと追い込まれた欧米
自国のパワーをアメリカのそれと比較して相対的に捉えるモスクワと北京は、欧米民主国家を衰退させれば、自国の国際的な地位向上につながると考えている。ロシアが民主体制を様々な方法で混乱させ、切り崩す一方で、中国が欧米民主主義の代替モデルを示し、困難な状況にある国に援助や投資を提供することで、弱体な民主国家が欧米から離れていく環境が作り出されている。これが侮りがたい権威主義モデル台頭の潮流を作り出しつつある。(テイラー、シュルマン)
経済成長率の鈍化に加えて、政治腐敗、環境悪化、政治および思想領域での統制強化などを前に、中間層は政府批判を強めている。しかし、ワシントンの対中強硬策がこの流れを変えるかもしれない。米大統領就任1年目にはトランプに好意的だった中国メディアも、いまや貿易摩擦の責任の大部分を「クレージーで強欲な」米大統領のせいだと批判し、アメリカを「丘の上の輝ける町」として捉える中国人は少なくなっている。北京の指導者と中間層の複雑な関係を的確に理解しない限り、アメリカの政策立案者と専門家は対中貿易強硬策の効果を正確に評価できないだろう。(リー)
中国はグローバルな開発金融部門で支配的な地位をすでに確立している。だがこれは、欧米の開発融資機関が、融資を基に進められるプロジェクトが経済・社会・環境に与えるダメージについての厳格な安全基準の受け入れを相手国に求める一方で、中国が外交的影響力を拡大しようと、その間隙を縫って開発融資を増大させた結果に過ぎない。しかも、中国が融資したプロジェクトの多くは、まともな結果を残せてない。すでに一帯一路構想に基づく最大規模の融資の受け手であるアジア諸国の多くは、戦略的にインド、日本、アメリカと再び手を組む路線へシフトしつつある。・・・(バタイネ、ベノン、フクヤマ)
-
中ロによる民主国家切り崩し策
―― 台頭する権威主義モデルと追い込まれた欧米2018年11月号 アンドレア・ケンドール=テイラー 新アメリカ安全保障センター シニアフェロー、デビッド・シュルマン 国際リパブリカン研究所 シニアアドバイザー
-
変化する中国人の対米イメージ
―― 米中関係の好転が期待できぬ理由2018年11月号 チェン・リー ブルッキングス研究所シニアフェロー
-
一帯一路戦略の挫折
―― 拡大する融資と影響力の不均衡2018年7月号 ブッシュラ・バタイネ スタンフォード大学博士候補生、マイケル・ベノン 同大学グローバルプロジェクトセンター マネージング・ディレクター、フランシス・フクヤマ 同大学シニアフェロー