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2018.10.1 Mon

米欧関係に生じた大きな亀裂
―― イラン制裁が同盟関係を揺るがす

アメリカの金融システムは、公共財ではなく、ワシントンが一方的に振り回す地政学ツールにされていると各国が考えるようになれば、それに翻弄されないようにするための措置をとるようになる。これまでアメリカの制裁に概ね同調してきたヨーロッパはゲームに出遅れているが、ヨーロッパはアメリカの金融覇権に挑戦することを決断している。その金融と経済の規模、ドルの代替手段としてのポテンシャルを秘めたユーロを保有するヨーロッパの行動は無視できないものになるだろう。(ベナー)

イランに対するトランプの強硬なアプローチは、経済制裁を求めるアメリカの圧力から自国の企業をどのようにして守るかについて、欧州連合(EU)内、そして世界での長期的議論を喚起することになるかもしれない。すでにヨーロッパは具体的な動きをみせている。・・・北朝鮮の核の脅威や中国の強硬路線に対処していくためにアメリカの支援を必要とする日本と韓国は、イラン制裁への参加を回避したいと望みつつも、トランプとの間で大きな対立を抱え込むことを望んでいない。イラン制裁が実現しても、その後、ワシントンは同盟関係の修復に取り組まざるを得なくなるだろう。(ハレル)

この1世紀で非常に深遠な変化が起きたとはいえ、現在の地政学構造は、一つの重要な例外を別にすれば、1970年代、あるいは1920代のそれと比べて、それほど変わらない。それは、アジアのパワーバランスの鍵を握るプレイヤーとして、中国が日本に取って代わったことだ。中国が力をつけているのに対して、アメリカとその他の先進民主国家は政治が機能不全に陥り、将来に向けてパワーを維持できるかどうか、はっきりしなくなっている。・・・(コトキン)

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