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2018.1.15 Mon
国際政治と「謝罪」のリスク
―― 日本の歴史認識と東アジアの和解を考える
いかなる国であっても、自国の過去の行動を謝罪すべきだという提案が出てくると、国内で反動が起き、国論は二分される。日本は、謝罪ではなく、過去の間違いを認め、一方で、未来志向のビジョンを示し、これらを自国の戦後の成果に対する誇りへと結びつける路線をとるべきだろう。この路線で東アジアの緊張が緩和されれば、自国だけでなく、世界が利益を得られるようなリーダーシップを日本は発揮できるようになる。・・・(リンド)
第二次世界大戦に由来する未解決の歴史問題が、北東アジアの地域的緊張の背景に存在する。この現状をめぐって、東アジアの戦後秩序を形作ったアメリカにも責任があることを認識する必要がある。アメリカは、冷戦という特有の環境のなかで戦後処理を行い、以来、状況を放置してきた。・・・(シン、シュナイダー)
憲法改正問題から集中豪雨的な輸出政策・官僚主導型の政治といった弊害の多くは、実は1940年代占領政策の「逆コース」にそのルーツがある。米政府がマッカーサーに日本経済を立て直せと命じた1948年の政策転換によって、開放的で民主化されたシステムが日本に根づく可能性はなくなった。この「歴史の非継続性」が、今後予想される日本の国益論争・安保論争などをめぐって日本の周辺諸国と米国を巻き込んだ論争の焦点の一つとなっていく可能性は高い。・・・(ラフィーバー)