Vikilikov / Shutterstock.com
2017.8.9 Wed
<イスラム国の終わりと変性>
テロ組織はどのように資金を調達しているか
8月号プレビュー
各国は長年、テロには金がかかるという思い込みゆえに、テロ組織が国際金融システムにアクセスするのを阻止しようと試みてきたが、このアプローチでテロを抑止できた証拠はない。ほとんどのテロは、数百ドル単位のごくわずかなコストでも決行でき、テロ組織の多くは国際金融システムを使うことはない。国際金融システムに焦点を合わせるのは、時間と資金を浪費するだけで、テロの抑止にはつながらない。(ノイマン)
貧困や失業に苦しみ、イスラム教徒が社会の周辺に追いやられているミンダナオ島では、イスラム主義者や共産主義者などの反政府勢力がフィリピン軍と衝突する流血の惨事が数十年にわたって繰り返されてきた。そこには、イスラム主義のイデオロギーやテロ集団を許容する社会的素地が存在した。しかも、中東で軍事的に追い込まれたイスラム国(ISIS)勢力はアジアへ軸足を移そうと試みている。(ヘイダリアン)
イスラム過激派が、イラクのキリスト教徒やヤジディ教徒コミュニティ同様に、エジプトのコプト教徒コミュニティの組織的破壊を進めるのを放置すれば、中東の宗教地図は大きく塗り替えられる。特に、約900万人に達するエジプトのコプト教徒は、中東地域における最大のキリスト教集団、最大の非ムスリム集団だ。イスラム国は、シナイ半島北部の小規模なキリスト教コミュニティをすでに粉砕している。(シーア)