2017.8.4 Fri
リークと嘘と中国の権力闘争
米欧中関係のパワーシフト
ミンダナオ島危機とイスラム国
8月号プレビュー
汚職の嫌疑をかけられアメリカに脱出している郭文貴の「習と王の盟友関係が見かけほど安定したものではなかったこと」を示唆する暴露発言が、共産党全国代表大会を控える中国の政界に大きな衝撃を与えている。習と王の関係を悪化させることを意図していると思われる郭文貴の発言の背後には、これまで政治腐敗キャンペーンの主なターゲットにされてきた江沢民派の高官たちが郭に取引を持ちかけた結果ではないかと憶測する声もある。(ドーシ、イェン)
米欧関係の構図が形骸化しつつある中で、ヨーロッパにとっては、アメリカの優位を脅かす恐れのあるほぼすべての課題をめぐって中国との関係を強化していくことが合理的になる。しかし、ここで選択を間違うのは危険だろう。欧中同盟が形成されるとしても、それはブレグジットの余波とトランプに対する反感が引き起こす政略結婚のようなものだからだ。しかし、ほんの数ヵ月前までは考えられなかった新しい中国とEUの関係が生まれようとしている。(カサリーニ)
イスラム教徒が社会の周辺に追いやられているミンダナオ島では、イスラム主義のテロ集団を許容する社会的素地が存在した。しかも、中東で軍事的に追い込まれたイスラム国(ISIS)勢力はアジアへ軸足を移そうと試みている。一方、テロ勢力という共通の敵が現れたことでアメリカとの関係は雪解けの時を迎えている。マニラが共通の敵に対するワシントンの軍事支援を受け入れるにつれて、両国政府の立場の違いはゆっくりとだが、着実に埋められつつある。(ヘイダリアン)