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2017.8.29 Tue
米中とツキジデスの罠
――次なる文明の衝突を管理するには 9月号プレビュー
台頭する国家は自国の権利を強く意識するようになり、より大きな影響力と敬意を求めるようになる。かたや、チャレンジャーに直面した既存の大国は状況を恐れ、守りを固める。この環境で、誤算のリスクが高まり、相手の心を読めなくなる。米中にはこの「ツキジデスの罠」が待ち受けている。それだけではない。米中間には相手国の理解を阻む文明的な障壁が存在する。必要なのは、相手への理解を深めることだ。対中アプローチを立案しているトランプ政権の高官たちは、古代中国の軍事思想家、孫武の著作に目を通すべきだろう。(アリソン)
アジアでは民主主義は機能しないと主張した点で、リー・クアンユーがかつて主張した「アジア的価値の仮説」は間違っていた。一方で、社会が近代化していくにつれて権威主義体制は崩れていくという主張も間違っていた。・・・政治的正統性の危機を回避するには政治腐敗を隠し、経済成長を維持するしか道はなくなっている。今後、経済が失速し、社会保障制度が崩壊してゆけば、権威主義国家の市民たちも、近隣諸国のように自国も民主体制をとるべきだと考えだす可能性が高い。(ネーサン)
悲観主義に陥る理由はない。この数十年で非常に多くの人が貧困層から脱し、軍事紛争の数も低下している。とりわけ、世界の人々の期待が似通ったものになってきている。現在のペシミズムの最大の危険は、悲嘆に暮れるがゆえに悲観せざる得ない未来を呼び込んでしまい、既存のグローバルシステムを再活性化しようと試みるのではなく、恐れに囚われ、欧米がこれまでのグローバルなエンゲージメントから手を引いてしまうことだ。(マブバニ他)