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2017.7.4 Tue
アメリカ政治の分裂とトランプ大統領
―― 情報機関と米大統領 7月号プレビュー
トランプ政権下におけるアメリカ民主主義の運命は、今後の展開に左右される。現状における最大の歯止めは、トランプ大統領に人気がないことだろう。共和党の政治家たちも、トランプの行動には頭を抱えているが、一方で、共和党有権者の支持が低下すれば、政府機関の要職に任命された高官たちが大統領への反対を表明しやすくなることを警戒している。実際、支持率の低下を前にすれば、連邦裁判所の判事たちも、大統領権限の強大化にもっと積極的に反対していくようになるだろう。(ミッキー他)
もっとも大切なのは、危機に直面する前から、大統領を含む政府高官と情報コミュニティ間のスムーズに機能する実務的関係を築き、信頼を育んでおくことだ。政策決定者が情報プロフェッショナルを誤解していれば、国家安全保障が脅かされる。一つの真実を追い求める情報プロフェッショナルたちの仕事へのより奥深い理解と評価をもつことで、大統領と政府高官たちはその関係の絶妙のバランスを取り戻す必要がある。(ミシック)
国内でもトランプはメディアを攻撃し、憲法と法の支配さえほとんど気に懸けていない。欧米の大衆も、リベラルな国際秩序のことを、豊かでパワフルな特権層のグローバルな活動の場と次第にみなすようになった。リベラルな国際秩序を存続させるには、この秩序をいまも支持する世界の指導者と有権者たちがその試みを強化する必要があり、その多くは、日本の安倍晋三とドイツのアンゲラ・メルケルという、リベラルな戦後秩序を支持する2人の指導者の肩にかかっている。(アイケンベリー)