2017.7.28 Fri
バノン派の凋落と伝統的外交の復活
―― 変貌したドナルド・トランプ 8月号プレビュー
トランプ政権が革命的政権にならないことはすでに明らかだろう。普通の大統領ではないかもしれないが、これまでのところ、彼の外交政策は驚くほど常識的だ。すでにスティーブ・バノン率いる「オルト・ライト」ポピュリスト派は政権内で勢いを失い、トランプは外交エスタブリッシュメントで構成される国家安全保障チームを編成している。当初のイメージとは裏腹に、トランプ時代は伝統的なアメリカ外交からの逸脱ではなく、その維持によって特徴付けられることになるだろう。(エイブラムス)
世界経済の短期予測には楽観ムードがあふれているが、長期的にみれば、生活レベルを左右する生産性の向上には多くを期待できない状況にある。先進諸国における生産性は40年以上にわたって停滞し続けているし、この状況に対して政府ができることはいまやほとんどない。人工知能、仮想現実、ナノテクノロジーなどのイノベーションが今後、生産性の向上をもたらすかもしれない。だが、そうならなければ、世界は低成長と低い生産性成長を特徴とする現状を抜け出せないままだろう。(レヴィンソン)
各国は長年、テロには金がかかるという思い込みゆえに、テロ組織が国際金融システムにアクセスするのを阻止しようと試みてきたが、このアプローチでテロを抑止できた証拠はない。ほとんどのテロは、数百ドル単位のごくわずかなコストでも決行でき、テロ組織の多くは国際金融システムを使うことはない。国際金融システムに焦点を合わせるのは、時間と資金を浪費するだけで、テロの抑止にはつながらない。(ノイマン)