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2017.7.25 Tue
なぜサウジは判断を間違えたか
―― 対カタール強硬策の代価
湾岸協力会議(GCC)はカタールに対して、イランとの関係遮断からアルジャジーラの閉鎖までの13の要求を突きつけ、その受入期限を6月2日に設定した。しかし、カタールは何一つ要求に応じなかった。サウジが主導するカタール封鎖路線には明らかに問題がある。カタールとイランの関係を問題視しているにもかかわらず、経済封鎖で追い込まれたカタールは食糧をイランやトルコから急遽輸入せざるを得なくなり、皮肉にも、カタールを両国の懐へと送り込んでしまった。(グサイン、ステーシー)
サウジを含む湾岸の君主諸国が今回なぜカタールに圧力をかけているのか、その理由ははっきりしない。だが、アルジャジーラでアラブの独裁体制を揺るがし、ムスリム同胞団を支援してエジプト政府と敵対し、イランとも接触してきたカタールにサウジがこれまで同様に手を焼いているのは事実だろう。米軍基地を受け入れ、天然ガス資源を世界に供給しているとしても、時間が経過するにつれてカタールはさらに追い込まれていく。・・・(ロバーツ)
スンニ派の盟主、サウジは追い込まれていると感じている。原油価格は低下し、財政赤字が急激に増えている。イエメンのフーシ派に対する空爆コストも肥大化し、イランが地域的に台頭している。シリア、イラクという中東紛争の舞台で、サウジとイランは代理戦争を展開し、いまや宗派対立の様相がますます鮮明になっている。このライバル抗争は当面終わることはない。その理由は四つある。・・・(ミラー、ブロッドスキー)
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なぜサウジは判断を間違えたか
―― 対カタール強硬策の代価2017年8月号 バッシマ・アル・グサイン アル・グサイン・グローバル戦略 最高経営責任者、ジェフリー・ステーシー ジオポリシティUSA マネージング・パートナー
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サウジはなぜカタールに強硬策をとったか
―― カタールの独自外交とアルジャジーラ2017年7月号 デビッド・B・ロバーツ キングスカレッジ・ロンドン 助教授
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サウジとイランの終わりなき抗争
―― 対立が終わらない四つの理由2016年2月号 アーロン・デビッド・ミラー ウッドロー・ウィルソンセンター 副会長 (ニュー・イニシアティブ担当)、ジェイソン・ブロッドスキー ウッドロー・ウィルソンセンター (リサーチアソシエーツ)