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2017.6.20 Tue
サウジはなぜカタール強硬策をとったか
―― カタールの独自外交とアルジャジーラ 7月号プレビュー
サウジが断交するなど湾岸の君主諸国はカタールに圧力をかけているが、その理由ははっきりしない。アルジャジーラでアラブの独裁体制を揺るがし、ムスリム同胞団を支援してエジプト政府と敵対し、イランとも接触してきたカタールにサウジがこれまで同様に手を焼いているのは事実だろう。米軍基地を受け入れ、天然ガス資源を世界に供給しているとしても、時間が経過するにつれてカタールはさらに追い込まれていく。(ロバーツ)
サウジは、複数の嵐に同時に襲われる「パーフェクトストーム」に直面している。一方、シーア派のイランは核合意によって経済制裁が解除された結果、数十億ドル規模の利益と国際社会での正統性を手に入れることになる。しかもテヘランは、シリアのアサド政権、イラク内のイラン寄りのシーア派勢力、レバノンのヒズボラを支援することで、地域的影響力とパワーを拡大している。シリア、イラクを舞台に、サウジとイランは代理戦争を展開し、いまや宗派対立の様相がますます鮮明になっている。このライバル抗争は当面終わることはない。(ミラー)
ムバラク政権打倒を目指した政治集団が分裂するなか、ムスリム同胞団は圧倒的な組織統率力をもつ。2011年秋の選挙で議席の多くを独占する可能性が高く、組織的支援を提供することを条件に、独立系の特定候補の出馬を促し、取り込みを図っている。いずれ権力を手にするであろう同胞団はアメリカの宿敵であるイランとの関係を改善し、アメリカ外交の大きな成果であるエジプト・イスラエル間の和平合意(キャンプデービット合意)を葬り去りたいと考えている。その対策を考えるには、先ず同胞団の本質を理解する必要がある。(トラガー)