2017.5.10 Wed
トランプ時代のアジア・他
2017年5月号(本日発売)
北京の高官の一部は、中国を頂点とする地域的ヒエラルヒーを再建して伝統的な中華秩序を再現することを望んでいるようだ。そのためには、アジアからワシントンの影響力を取り除き、その空白を中国自身が埋めなくてはならない。だがこの場合、アメリカとの同盟関係が頼りにならないと判断した日本が核武装する可能性は十分にある。日本が核兵器を獲得すれば、韓国、そして台湾もそれに続く強いインセンティブをもつようになる。・・・こう考えると、アジア秩序が中華秩序に置き換えられていくことも、アジアを互いの影響圏に二分するような大掛かりな米中合意が結ばれる可能性も低い。(コーシカン)
歴史を顧みれば、トランプのような指導者が市民の不満を追い風に権力を握り、敵を屈服させると約束しつつも、軍事、外交、経済上の紛争の泥沼にはまり込み、結局は後悔することになったケースは数多くある。もっとも、トランプの主張が正しい可能性もある。・・・だが、彼が間違っている可能性もある。・・・トランプの常軌を逸したスタイルと対決的な政策が、すでに不安定化している世界秩序を崩壊させ、アメリカがイラン、中国、北朝鮮との紛争へと向かっていく恐れもある。(ゴードン)
2016年、オバマ政権が、商務省とインターネットのドメインネームシステム(DNS)を管理するICANNとの長年にわたる契約を期間満了で終了させると、「政府はインターネットの自由を見捨てた」と非難する声が相次いだ。しかし批判派は、アメリカ政府とICANNとの関係が世界で批判されてきたことを見落としている。・・・(ロースティアラ)