Focal Points

2017.3.27 Mon

トランプリスクが促す世界秩序の再編
―― 各国のリスクヘッジで何が起きるか(3月号プレビュー)

「不満を表明する手段として(非自由主義的なイデオロギーや感情に訴えているのは)苦々しい思いを抱くルーザーたち、つまり、銃の所有や(相手の)宗教にこだわり、自分たちとは違う人々を毛嫌いする人たちだけだ」。アメリカのエリートたちはこう考えるようになっていた。(国や民族に囚われない)コスモポリタン的感情をもつアメリカ人の多くは、道義的、倫理的にみて、人類全般の生活の改善に取り組むことが重要だと考えていた。(ミード)

アメリカとロシアの対立の根は深い。ドナルド・トランプはキャンペーン中も大統領選で勝利した後も、「なぜロシアとうまくやれないのか」と問いかけてきたが、うまくやれないのは、双方が国益の基礎をなすと考える中核問題をめぐって双方の立場の隔たりが大きいからだ。ロシアによる勢力圏の主張はワシントンには受け入れられないし、「欧米によるロシア勢力圏の侵食」とモスクワがみなす動きへの反発も障害となる。(ルマー、ソコルスキー、ワイス)

トランプ政権が同盟関係へのコミットメントを弱めれば、同盟国は、自国の安全保障、繁栄、市民の安定した生活を、独立性を高めることで強化し始めるだろう。地政学領域では、各国は、「アメリカ」と「自国にとって重要な地域大国」との関係を見直すことで、リスクヘッジを試みるだろう。経済領域では、中国が主導する一帯一路構想などの、アメリカが関与していないアレンジメントを各国は求めるようになるだろう。そうなるかどうかは、「大統領としてのトランプの選択」に左右される。(パトリック)

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