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2017.3.17 Fri
ロシアの思惑
――不安定化の時代の欧米との駆け引き
アメリカとロシアの対立の根は深い。うまくやれないのは、双方が国益の基礎をなすと考える中核問題をめぐって双方の立場の隔たりが大きいからだ。トランプ政権の課題は、モスクワとの緊張を緩和することではなく、むしろ、それをうまく管理して、さらなる悪化を防ぐことだ。ロシアと突然和解すれば、不安定化している国際秩序が永続的なダメージを受ける。(ルマー)
ロシアとヨーロッパの関係は、経済領域を中心に雪解けを迎え、ロシアにとって大きな貿易パートナーとしてのEUが復活するかもしれない。だが、そうした関係の改善も、ロシアがヨーロッパの一部になることを夢見た1990年代へと時計の針を巻き戻すことはあり得ない。プーチンが2010年まで口にしていた大ヨーロッパが出現することは当面あり得ず、モスクワでは、この構想はすでに大ユーラシア(経済)構想に置き換えられている。(トレーニン)
2016年の米大統領選挙へのロシアの介入は、明らかにドナルド・トランプを利することを目的にしていた。2017年、ともに選挙を控えている独仏は、周到な対策をとってロシアのデジタル攻撃に備えるべきだ。ロシアの「コンプロマート(不名誉な情報)」オペレーションは必ずしも特定候補に有利な環境を作り出すことが目的ではない。むしろ、選挙プロセスを混乱させ、民主的政府の名声を汚すことで、(欧米が批判してきた)ロシアの道徳的基準と欧米のそれが大差ないことを示すことが狙いだ。(ベナー)