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2017.2.24 Fri
トランプリスクに怯える世界
―― 各国のリスクヘッジで何が起きるか(3月号プレビュー)
トランプ政権が同盟関係へのコミットメントを弱めれば、同盟国は、自国の安全保障、繁栄、市民の安定した生活を、独立性を高めることで強化し始めるだろう。地政学領域では、各国は、「アメリカ」と「自国にとって重要な地域大国」との関係を見直すことで、リスクヘッジを試みるだろう。経済領域では、中国が主導する一帯一路構想などの、アメリカが関与していないアレンジメントを各国は求めるようになるだろう。そうなるかどうかは、「大統領としてのトランプの選択」に左右される。(パトリック)
格差と失業に悩む現在の欧米諸国は弱体化し、もはやリベラルな政治経済システムの強さを示すシンボルではなくなっている・・・。それでも孤立主義に傾斜したり、代替秩序の封じ込めを試みたりするのは間違っている。そのようなことをすれば、リベラルな国際秩序の擁護派と、それに挑戦する勢力が公然と対立し、偶発的に大掛かりな紛争に発展する恐れもある。希望は、「リベラルな国際政治秩序」は衰退しても、「リベラルな国際経済秩序」が生き残ると考えられることだ。(ニブレット)
現在のリベラルな秩序を立て直そうとすれば、逆にその解体を加速することになる。むしろアメリカは、すでに具体化しつつある、より多様で多元主義的なシステム、つまり、新興パワーがより大きな役割を果たし、現在の秩序よりも他の諸国がこれまでより大きなリーダーシップをとる国際システムへの移行の先導役を担うことを学んでいく必要があるだろう。(マザー)