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2017.12.4 Mon
中東原子力ブームの危うさ
―― テロや空爆のターゲットにされかねない
中東では原発建設がブームになっているが、中東に原子炉を建設することの安全保障リスクがブームのなかで見えなくなっているようだ。リスクは原子炉の先に核兵器生産が見え隠れすることだけではない。原子力発電所が武装勢力の攻撃ターゲット、あるいは、占拠されて恫喝の手段とされてしまう恐れがある。すでに中東では「建設中の原子炉」が何度も攻撃されている。過激派組織が稼働中の原子炉を攻撃対象にするリスクは排除できないだろう。・・・(ランバーグ)
北朝鮮が日韓の原子力施設を攻撃すれば、何が起きるか。原子炉が攻撃され、炉心や使用済み核燃料のプールにダメージが及べば、原子炉は、殺戮兵器ではないにしても、実質的にテロ攻撃や大量破壊兵器と同じ作用をする。日韓はアメリカとともに防衛計画をまとめていく上で、原子力発電施設の脆弱性を無視してはならない。・・・(ランバーグ)
アラブ首長国連邦(UAE)は自国の天然資源を温存し、輸出できる資源を確保するためにも、エネルギーミックスに原子力を加えて多様化する必要に迫られている。一方で、「アラブ諸国はいずれ核兵器を開発するのではないか」という懸念も浮上している。今後の流れを左右する大きな変数は、イランが核合意を順守するかどうか、そして「ウラン濃縮を行わない」と表明したUAEがその約束を今後も守るかどうかだ。・・・(グザンスキー)