2017.11.10 Fri
スターリンとヒトラー
――二十世紀を分けた独裁者の思想と地政学戦略、ほか【11月号 発売日】
地政学をゼロサムで捉え、ソビエトとイギリスの双方を粉砕する必要があったヒトラーの選択肢は、スターリンとの不可侵条約をさらに深化させて、大英帝国のすべてを手に入れる作戦に乗り出すべきか、ターゲットをソビエトに据え、大英帝国の攻略を後回しにすべきか、というものであった。一方、スターリンは、軍備増強路線で戦争に備えつつも、ドイツがイギリスとの対決へと向かうような環境を作り出そうとしていた。彼は、物資供給を必要としているドイツが、その供給を途絶えさせるソビエトとの戦争を開始するのは自滅的だと読んでいた。・・・(コトキン)
欧米諸国による批判や敵意を前にすると国内が不安定化する傾向があるロシアなどの権威主義国家は、民主国家による民主化促進策、反体制派支援、経済制裁などを阻止するための盾を持ちたいと考えてきた。こうして、欧米の政治に介入したり、プロパガンダ戦略をとったりするだけでなく、資金援助をしている欧米の政党や非政府組織、ビジネス関係にある企業との関係を通じて、民主社会への影響力を行使するようになった。権威主義国家の最終的な目的は、自分たちの影響力を阻止できないほどに欧米の政府を弱体化させることにある。・・・(べナー)
欧米における経済概念が、開放的で自由な市場における企業間競争を前提としているのに対して、中国経済では、地方政府が経済プレイヤーとして、競争的な経済環境の一翼を担っている。しかも、北京が設定する広範な基準や政策は、伝統的な経済思考に合致するものではない。例えば、中国の債務問題が銀行による融資問題であるとともに、地方政府の財政の問題であることを理解できなければ、誤解に基づいた対応を呼び込むことになる。この意味で、貿易と政治腐敗についても、欧米の対中認識には問題がある。・・・(ファン)