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2017.10.18 Wed
イスラム国後の中東
――プーチンの中東地政学戦略
極端な暴力路線をとり、性奴隷を正当化しているとはいえ、革命運動としてみればイスラム国(ISIS)に目新しい要素はほとんどない。イスラム国は多くの側面においてフランス、ロシア、中国、キューバ、カンボジア、イランで革命期に出現した体制、国家建設を目指した革命運動に驚くほどよく似ている。そして、歴史が示すところによれば、革命国家を外から倒そうとする試みは、逆に強硬派を勢いづけ、さらなる拡大の機会を与え、逆効果となることが多い。よりすぐれた政策は、イスラム国に対する辛抱強い「封じ込め戦略」を地域アクターに委ね、アメリカは遠くから見守ることだ。(ウォルト)
シリアに介入したことで、ロシアはポスト・アサドのシリアでも影響力を行使できるだけでなく、地域プレイヤーたちに「アメリカと違って、ロシアは民衆蜂起から中東の指導者と政府を守り、・・・見捨てることはない」というメッセージを送った。2015年後半には、エジプト、イスラエル、ヨルダン、クウェート、サウジアラビア、アラブ首長国連邦の指導者たちが相次いでモスクワを訪問している。すでにサウジは100億ドルを、主にロシアの農業プロジェクトに投資することを約束し、イラクはイスラム国との戦いにロシアの力を借りるかもしれないと示唆している。(ステント)
イスラム国の台頭によって、水面下に抑え込まれてきたイラクの民族・宗派対立が表面化し、再燃しつつある。モスルをイスラム国(ISIS)の支配から解放する作戦が進められるなか、この武装集団を打倒した後のイラクがどのような状態に陥るかが問われ始めているのはこのためだ。イラクからイスラム国を締め出しても、おそらくイラクにおける武装集団の数が減ることも、社会暴力のリスクが低下することもないだろう。イラクの混乱は収束へ向かうどころか、これまでイスラム国が支配してきた地域で新たに暴力的な抗争が起きることになる。・・・(ミロノバ)