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2016.12.19 Mon
ジョン・ケリー国務長官が回顧する
オバマ外交と米外交の課題
(1月号プレビュー)
「政治システムに人々が失望していることが人々の不信感を高めている。それは私にも理解できる。しかしTPPを批准して、企業がトップを目指して競争するルール、世界中の人々の権利を強化するルール、環境を守り、労働基準を確立し、市場を開放するルールを作らなければ、アメリカは豊かになれない。アメリカが世界から手を引けば、その空白を埋めようと考えている国はたくさんある」(ケリー)
アラブの春に直面したオバマは独裁政権の指導者ではなく、街頭デモに繰り出した民衆を明確に支持し、ムスリム同胞団の政治参加を認めた。さらに、米軍の過大な地域関与を控え、基本的に不介入路線をとった。オバマはシリア紛争への踏み込んだ関与を避け、イラクから部隊を撤退させ、イランとの核合意をまとめ、アラブの春を支持した。おそらく、次期大統領はオバマの路線から距離を置こうとするだろう。しかし、結局は、容易ならざる中東の現実とオバマの選択の正しさを思い知ることになるだろう。(リンチ )
NATOが軍事介入するまでには、リビア内戦はすでに終わりに近づいていた。しかし、軍事介入で流れは大きく変化した。カダフィ政権が倒れた後も紛争が続き、少なくとも1万人近くが犠牲になった。・・・「もっと全面的に介入すべきだった。社会を再建するためにもっと踏み込んだ関与をすべきだった」とオバマ大統領は語っている。だが、実際には、軍事介入の決定そのものが間違っていた、リビアには軍事介入すべきでなかった。(クーパーマン)