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2016.12.14 Wed
民主主義の危機
―― 1930年代の再現を回避するには
ファシストが台頭した環境は現在のそれと酷似している。19世紀末から20世紀初頭のグローバル化の時代に、資本主義は西洋社会を劇的に変貌させた。伝統的なコミュニティ、職業、そして文化規範が破壊され、大規模な移住と移民の流れが生じた。現在同様に当時も、こうした変化を前に人々は不安と怒りを感じていた。だが、第一次世界大戦、大恐慌という大きなショックを経験したことを別にしても、根本的な問題は、当時の民主主義が、戦間期の社会が直面していた危機にうまく対処できなかったことだ。(バーマン)
ポピュリストの指導者が主導する民主体制の解体ペースがゆっくりとしたものであるために、広範な反対運動を刺激するような劇的な展開はなく、反政府勢力を団結させるようなはっきりとした争点も浮かび上がってこない。仮に反政府勢力が組織されても、ポピュリストたちは、彼らを「第五列」、「エスタブリッシュメントのエージェント」、あるいは、「システムの不安定化を狙う工作員」と呼ぶことで、封じ込める。(テイラー、フランツ、ライト)
極端に私物化された政治体制が世界各地に出現している。(プーチンのロシアや習近平の中国など)広く知られているケースを別にしても、バングラデシュからエクアドル、ハンガリーからポーランドまでの多くの諸国で権力者が自身に権力を集中させようと試みている。権力者個人に権力を集中させる政治システムは、冷戦終結以降、顕著に増加しており、この現象は大きな危険をはらんでいる。(テイラー 、ライト)
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民主主義の危機にどう対処するか
―― ポピュリズムからファシズムへの道2016年12月号 シェリ・バーマン バーナードカレッジ教授(政治学)
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民主主義はいかに解体されていくか
―― ポピュリズムから独裁政治への道2017年1月号 アンドレア・ケンドール・テイラー 国家情報会議・副国家情報官 エリカ・フランツ ミシガン州立大学准教授
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新しい独裁者たち
―― なぜ個人独裁国家が増えているのか2016年11月号 アンドレア・ケンドール=テイラー 米国家情報会議・副国家情報官 (ロシア・ユーラシア担当) エリカ・フランツ ミシガン州立大学助教授(政治学) ジョセフ・ライト ペンシルベニア州立大学准教授(政治学)