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2016.12.12 Mon
TPP離脱という歴史的間違い
── TPPとアジアの安全保障
いまや中国を中心とする貿易枠組みが、欧米の貿易枠組みに取って代わっていくとみなされているというのに、アメリカ人は、貿易のことを、国内の雇用保障、民主的な統治、そして世界の労働者の権利、公衆衛生や環境の保全を脅かす脅威と考えている。経済安全保障と国家安全保障が不可分の形で結びついているというコンセンサスを再構築する必要があるし、安全保障面からも貿易を促進する必要があるという議論を、現在の懸念に配慮したものへと刷新する必要がある。(ハールバート)
アメリカが国際秩序に大きな影響力を持ち続けるには、内向きにならないことが条件になる。しかし、TPPから離脱すれば、そうした致命的な方向転換を示すネガティブなシンボルとみなされてしまう。トランプ次期大統領は、TPPに背を向けるのではなく、態度を保留して、将来、戦略地政学的な必要性が明らかになったとき、批准を再考できるようにしておくべきだ。(アイケンソン)
ドナルド・トランプは、「愚かな」交渉人がまとめたひどい貿易合意のせいで、中国、日本、メキシコがアメリカを貿易面で追い込んでいると訴えている。・・・現実には、貿易はアメリカに大きな利益をもたらしている。雇用喪失の85%以上はオートメーション化による生産性の向上が原因で、貿易が原因による雇用喪失は13%にすぎない。・・・アメリカは貿易上の問題には直面していない。問題は、かつて非熟練労働者が中間層の仲間入りを果たすことに道を開いた経済的なはしごが壊れてしまったことだ。(アーウィン)