Focal Points

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2016.11.29 Tue

トランプ主義のルーツ
―― 取り残された人々、貧困そして格差(12月号プレビュー)

テクノロジーと金融経済の進化は、東海岸や西海岸における都市の経済的・社会的バイタリティーを高めたが、製造業に支えられてきた南部と中西部にはみるべき恩恵はなかった。南部と中西部の経済が衰退して市民生活の空洞化が進んでいるのに、政治的関心がこの問題に向けられなかったために、これらの地域の「成長から取り残された」多くの人々がドラッグで憂さを晴らすようになり、なかには白人ナショナリズムに傾倒する者もいた。トランプはまさにこの空白に切り込み、支持を集めた。(カーウィー)

アメリカ社会のこの半世紀における成功とは、性別や人種にかかわらず、誰でも同じ機会を得られるように社会を進化させてきたことだ。だが一方で、新たな不平等が生じている。・・・貧困家庭に生まれた人々は、そうでない人に比べて機会に恵まれない。この数十年でアメリカ人が人生で得る機会に、富裕層か貧困層かで大きなギャップが生じるようになった。このまま放置すれば、アメリカがこれまで実現してきた性別や人種を問わない機会の平等の進展が覆されるだけでなく、深刻な階級間格差が固定化される危険がある。(ケンウォーシー)

多くの人は貧困関連の社会統計や極端な貧困のケースを前に驚愕し、格差の現状を嘆きつつも、「ダイナミックな経済システムのなかで所得格差が生じるのは避けられない」と考えている。要するに、目に余る格差に対して道義的な反感を示しつつも、格差是正に向けた理論的基盤への確固たるコンセンサスは存在しない。だが、20世紀初頭から中盤にかけては、一連の社会保障政策が導入され、格差は大きく縮小した。・・・しかし、冷戦が終わり、平和の時代が続くと、市民の国家コミュニティへの帰属意識も薄れ、福祉国家は深刻な危機の時代を迎えた。(ロザンヴァロン)

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