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2016.11.21 Mon
「イスラム国」後のイラク
―― 解放後になぜ混乱が待ち受けているか
イスラム国の台頭によって、水面下に抑え込まれてきたイラクの民族・宗派対立が表面化し、再燃しつつある。モスルをイスラム国(ISIS)の支配から解放する作戦が進められるなか、この武装集団を打倒した後のイラクがどのような状態に陥るかが問われ始めているのはこのためだ。スンニ派対シーア派の対立だけではない。アラブ人とクルド人の対立が先鋭化する一方で、クルド人勢力、シーア派、スンニ派など、同じ民族・宗派集団の内部対立も再燃している。(ミロノバ、フセイン)
宗教的側面をもっているとはいえ、イスラム国は多くの側面においてフランス、ロシア、中国、キューバ、カンボジア、イランで革命期に出現した体制、国家建設を目指した革命運動に驚くほどよく似ている。そして、歴史が示すところによれば、革命国家を外から倒そうとする試みは、逆に強硬派を勢いづけ、さらなる拡大の機会を与え、逆効果となることが多い。よりすぐれた政策は、イスラム国に対する辛抱強い「封じ込め戦略」を地域アクターに委ね、アメリカは遠くから見守ることだ。(ウォルト)
イスラム国を後にするシリア人戦闘員が増えている。・・・離脱後、穏健派の自由シリア軍(FSA)に参加する者もいれば、紛争から離れようと、国境を越えてトルコやヨルダンに向かう者もいる。シリアのイスラム国は、現地社会や地勢などをめぐるインサイダー情報をめぐってシリア人メンバーに多くを依存してきた。逆に言えば、シリア人戦士の戦線離脱の増大は、シリアにおけるイスラム国の統治と軍事活動を大きく脅かすことになるだろう。(レブキン、ムヒディ)