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2016.10.19 Wed
OPEC減産合意の意味合いを問う
―― なぜ大きな価格上昇が起きないか
2016年9月、石油輸出国機構(OPEC)は、メンバー諸国の原油生産総量を日産74万バレルに制限することに合意したが、各国がどの程度の減産をするかについての詳細は11月30日の会合で決めるとされている。現実には1982年以降、OPECは生産目標に合意しても、その96%を守っていない。仮に詳細な合意が11月に成立し、順守されたとしても、世界の石油生産総量の1%足らずが減少するにすぎない。この程度の減産で原油価格が大幅に上昇するとは考え難く、多少価格が上昇しても、非OPECの産油国が増産を行い、当初の価格上昇は相殺される。(コルガン)
原油安が好ましいとは限らない。例えば、原油価格が今後10年にわたって50ドル前後で推移した場合、中東産油国へのわれわれの依存度は高まっていく。北米、ブラジル、アフリカなどの原油は生産コストが高いために、生産量は削減され、生産コストの安い一部の中東産油国の石油への需要と依存が高まっていく。一方、中東は、誰もが知るとおり、大きな混乱のなかにある。つまり、石油安全保障の観点からみれば、長期的に原油が低価格で推移するのは、かなりのリスクがある。(ビロル)
サウジの社会契約は石油の富による繁栄を前提にしており、(原油安が続き)民衆が望むレベルの繁栄を提供できなくなれば、政府は政治的に非常に困難な事態に直面する。原油以外の歳入源(経済の多角化)について、さまざまな議論が行われているが、これまでうまくいったことはない。(ハウス)
サウジは、イランのことをイスラム国以上に深刻な脅威とみなしている。イランは非国家アクターを操り、イラクからシリア、レバノン、パレスチナ、イエメン、おそらくはバーレーン、さらには、サウジ東部のシーア派を含む、サウジ周辺の全地域(と国内の一部)で影響力を拡大しているからだ。(ハイカル)