ヨーロッパでなぜポピュリズムが台頭しているのか。既存政党が政策面で明らかに失敗していることに対する有権者の幻滅もあるし、「自分たちの立場が無視されていると感じていること」への反動もある。難民危機といまも続くユーロ危機がポピュリズムを台頭させる上で大きな役割を果たしたのも事実だ。・・・厄介なのは、ヨーロッパが直面する問題はＥＵの統合と協調を深化させることでしか解決できないにも関わらず、ヨーロッパの有権者たちがこれ以上ブリュセルに主権を移譲するのを拒絶していることだ。（ブローニング）

ヨーロッパの暗黒の時代を想起させるかのように、右派勢力は「交渉の余地のある経済政策上の対立」を「交渉の余地のない民族アイデンティティをめぐる対立」へと置き換えていくことに余念がない。右派政党は、左派政党以上にヨーロッパ統合を糾弾し、市民の民主的権利を疑問視し、民族的少数派や移民をターゲットにした排外主義感情を煽り立てている。（ブリス、バン）

多くの人は最近の欧米におけるポピュリスト政党の台頭は「２００８年の金融危機とそれに続くリセッションの余波」として説明できると考えている。だが現実には、この現象は、市民の要請に応える政府の対応能力が低下していることに派生している。・・問題は右派も左派もその解決策を間違っていることだ。民主政治体制の相対的安定を願うのなら、ポピュリストの不満に対処しつつも、彼らの処方箋では何も解決できないことを認識させる必要がある。（モンク）