2016.06.23 Thu
2016年の政治的意味合い、
変貌したドイツ外交、ヨーロッパにおけるポピュリズムの台頭、他
(7月10日発売号プレビュー)
2016年の米大統領選挙の本当のストーリーとは、経済格差が拡大し、多くの人が経済停滞の余波にさらされるなか、アメリカの民主主義がついに問題の是正へと動き出したことに他ならない。有権者の多くは、彼らが「堕落し、自分の利益しか考えない」とみなすエスタブリッシュメントに反発し、政治を純化して欲しいという願いから急進派のアウトサイダーを支持している。(フクヤマ)
いまやドイツはヨーロッパ最大の経済国家に見合う国際的責任を果たそうと試みている。コソボとアフガニスタンへの軍事的関与は、それまで「戦争」という言葉が禁句だった国にとって、歴史的な一歩を刻むものだった。ドイツが既定路線を見直したのは、ヨーロッパの安定とアメリカとの同盟を真剣に受け止めたからだ。それでもドイツが変化に適応しながらも、自制や配慮を重視する信条と外交を重視していくことに変わりはない。(シュタインマイアー)
ヨーロッパでなぜポピュリズムが台頭しているのか。既存政党が政策面で明らかに失敗していることに対する有権者の幻滅もあるし、「自分たちの立場が無視されていると感じていること」への反動もある。難民危機といまも続くユーロ危機がポピュリズムを台頭させる上で大きな役割を果たしたのも事実だ。(ブローニング)