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2016.04.25 Mon
諸文明の融合と国際政治
昨今の欧米世界ではイスラム世界の混乱、中国の台頭、欧米の経済・政治システムの硬直化といった一連の課題に派生する悲観主義が蔓延している。しかし、悲観主義に陥る理由はない。この数十年で非常に多くの人が貧困層から脱し、軍事紛争の数も低下している。とりわけ、世界の人々の期待が似通ったものになってきている。これは、グローバルな構造の見直しをめぐる革命ではなく、進化へと世界が向かっていることを意味する。(マブバニ、サマーズ)
私は、人類を隔て、紛争をもっぱら引き起こすことになるのは文化的な要素ではないか、と考えている。国民国家は世界政治における最も力強いアクターとして存続するだろうが、むしろ異なる文明下にある国家や集団によって引き起こされる文明の衝突が今後の世界政治をめぐる紛争の主な要因になっていくだろう。(ハンチントン)
ベルリンの壁が崩壊した段階ではフクヤマは真実の鐘をならしていたし、9・11以降の世界政治についてはハンチントンの見方は現実を言い当てていた。中国パワーが今後開花していけば、ミアシャイマーも現実を言い当てることになるのかもしれない。(ベッツ)