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2016.03.17 Thu
なぜロシアはシリアからの軍撤収を決めたのか
―― 軍事紛争から外交へと流れを変えるチャンスか
撤収の決定はたんなる資金節約のためではないはずだ。ロシアのシリア介入コストは、年間10-20億ドル程度で、途方もない金額に達していたわけではない。だがより重要なのは、今なら、プーチンが中東の泥沼に引きずり込まれるリスクを冒すことなく、勝利を宣言できることだ。(マーチン&メノン)
ロシアによるグルジアとウクライナでの戦争、そしてクリミアの編入は、「ポスト冷戦ヨーロッパの安全保障構造から自国が締め出されている現状」に対するモスクワなりの答えだった。一方、シリア紛争への介入は「中東におけるロシアの影響力を再生する」というより大きな目的を見据えた行動だ。(ステント)
シリアを安定化させて、ロシアの地域的プレゼンスを維持できるようにすることを、モスクワはおそらく介入の最終目的に据えている。問題は、イスラム国に対する作戦を開始した当初は、この同盟勢力間の連帯を維持できても、作戦が長期化し、特にアサドが支配する地域の安定化が実現すれば、同盟勢力の利益認識が次第に分裂し始めると考えられることだ。(アダムスキー)