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2016.03.16 Wed
近代化と格差を考える
―― 再び格差問題を政治課題の中枢に据えるには
再分配政策の政治的支持基盤は形骸化し、経済的格差が再び拡大し始めた。いまや対立の構図は労働者階級と中産階級ではない。「一握りの超エリート層とその他」の対立だ。(イングルハート)
格差是正に向けた理論的基盤への確固たるコンセンサスは存在しない。・・・財政的理由からだけでなく、個人の責任が社会生活を規定する要因として復活し、ドラッカーから再びシュンペーターの時代へと移行するなかで、社会的危機という概念そのものが形骸化している。・・・(ロザンヴァロン)
問題は、各国における国内格差の拡大が、国家間の格差の縮小を相殺している部分があることだ。このトレンドを抑え込むには、各国は所得再分配政策を実施し、労働・金融市場の規制を強化し、企業が資産や生産ラインを外国に移転して、課税逃れをするのを阻む国際的アレンジメントを考案すべきだろう。ブルギニョン)