プーチンが思い描く紛争後のシリア
―― 戦後処理と各国の思惑
2018年2月号
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バッシャール・アサドはダマスカスの権力を握っているかもしれないが、シリアの政治的風景はもはや元に戻せないほどに変化している。シリアはすでにアサド政権、反アサド、親トルコ、親イランの勢力、さらにはクルド人という五つの勢力がそれぞれに管理する地域へ実質的に分裂している。ロシアは、この現実を受け入れようとしないアサドだけでなく、紛争期の同盟国であるイランの動きにも対処していく必要がある。アサド政権だけでなく、イランやトルコのシリアに対する思惑が変化していくのは避けられず、これに関連するイスラエルの懸念にも配慮しなければならない。今後、外交領域で勝利を収めるのは、戦闘で勝利を収める以上に難しい課題になっていくだろう。