プーチノミクスの驚くべき成功
―― 成長よりも安定を重視する狙いは何か
2018年4月号

原油価格の暴落と欧米による経済制裁という大きな圧力にさらされているために、ロシア人を含む、内外の専門家の多くは、経済危機がウラジミール・プーチンの権力を脅かすのではないかと考えてきた。しかし、これまでのところ、そのような兆しはない。ロシア経済は安定しているし、インフレも歴史的な低水準で、予算もほぼ均衡している。プーチノミクスの大きな特徴は、高賃金と経済成長を目指すのではなく、むしろ、失業率を低く保ち、年金を着実に支払うことを重視することで、社会不満の高まりを抑え込んでいることにある。債務とインフレを低く保つことで、マクロ経済の安定を心がける「プーチノミクス」は、ロシアを豊かにすることではなく、国内を安定させ、エリートの権力を維持することを目的にしている。