中国の政治介入に揺れるオーストラリア
―― 民主的対抗策の原則を探る
2018年5月号
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オーストラリアにおける「中国の影響力とソフトパワーに対するとらえどころのない不安」は、「中国共産党による水面下での政治介入に対する明確な懸念」へとすでに変化している。中国とつながっている政治資金提供者が政治へのアクセスと影響力を強め、大学は中国の「プロパガンダのツール」として取り込まれている。一方、キャンベラは、明確な現状分析によって、リスクを管理し、ダメージを特定する一方で、全般的な中国とのエンゲージメントを維持するという問題と恩恵を区別する対応をみせている。リスクとダメージを管理する一方で、相手にエンゲージし続けるためのバランスをとるのは容易ではない。いずれ、同じような環境に遭遇する民主国家の指導者たちは、オーストラリアの経験と対策を注意深く見守る必要がある。