破綻したプーチンの統治モデル
―― 情報機関の没落と恐怖政治の復活
2018年7月号

ごく最近まで、ロシアの情報機関は「新しい貴族」としてのステータスを手にしてきた。潤沢な活動予算を与えられ、監督対象にされることもなく、クレムリンの敵に対して自由に行動を起こす権限をもっていた。高官たちには、国有企業、政府系企業の重要ポストも用意されていた。しかし、情報機関の多くは、本来なら監視の対象とすべきオリガークの傭兵と化し、ライバル抗争を繰り広げるばかりで、機能不全に陥ってしまった。いまやプーチンは、これまでのやり方を見直し、情報機関の権限と自主裁定権を縮小し始め、むしろ、大統領府に権限を集中させている。プーチンのロシアは急速にソビエトモデルへ回帰しつつある。但し、その帰結が何であるかを、プーチンはおそらく正確に理解していない。・・・